ドクター中松、本名中松義郎さんは、1928年6月生まれで今年96歳になります。発明家、実業家、政治活動家として知られ、7月の東京都知事選に立候補。スゴイですね!
さて、ドクター中松の発明を知っていますか?
発明家としては、過去にいろいろなジャンルの発明が特許庁に出願されています。
そのなかには権利になっていないアイデアのみのおもしろ発明もあり、発明のポイントを調査してみました。
ドクター中松の特許出願を検索
特許庁へ出願された情報を検索データベースから誰でも検索できます。しかも無料です。
この検索用のデータべースは「J-PlatPat」といいます。
簡単な方法は、「特許・実用新案検索」で検索キーワードを入れて検索すると文献番号のリストが出てきます。
「検索キーワード」の「発明者」の項に「中松義郎」とインプットします。出てきたリストに書かれた「発明の名称」から興味のある出願をチェック。
「中松義郎」での検索結果
J-PlatPatは昭和46年以降に出願されたデータが蓄積され、これより古い出願は検索できません。
中松義郎での検索結果は593件になりました。2003年以降に出願されたのはなく、昭和、平成時代に出願されたものが多いです。
593件のうち、著者が興味を引いた出願で分かりやすい図面のあるのをジャンル別に選んで次に示しました。
特許請求の範囲、図面はJ-PlatPatでの特許公開公報からの引用です。
履物のアイデア
発明の名所「翔ッ靴」
特開平6-189801号
特許請求の範囲:「靴の踏部にバネ2を設け、そのバネに接地板10を止帯により取り付けたことを特徴とする。」
・この発明は踏部にバネを設けて、ジョギングなどで足の関節に加わる衝撃をなくせるとのこと。またその衝撃を与えるエネルギをジョギング走行運動に有効に利用できるとされています。この発明はジャンピングシューズの名前で商品化されていますね
ポイント:靴とバネの組み合わせを具体化したアイデア。しかし、これを履いて歩道をピョンピョンされるのは迷惑です!
#hapimoni #jfn
— 🇺🇦しらけー💫バラ色バナナ🍌 (@shirakei_795784) February 21, 2024
そうそう、フロッピーディスクもジャンピングシューズもドクター中松の発明品🤣 pic.twitter.com/bcXo1ewOsS
発明の名称「IT(アイティー)」
特開2002-219003号
ITとは一人が簡単に移動できる移動装置とのことです(Individual Transporter)。
特許請求の範囲:「靴など足をのせる部分の下に駆動装置3を設け、前記靴など足の上下で前記駆動装置をコントロールし得ることを特徴とするIT。」
・この発明は一人が簡単に移動できる移動装置です。足をのせる部分の下に駆動装置、図中ではモーター3を設け、足の上下で駆動装置をコントロールできるとしています。
コントロール法には図の電源オンオフスイッチ6が例示され、靴を上げた時に車輪の回転を停止する仕組みになっています。
ポイント:この発明のイメージはローラースケートにモーターなどの駆動装置を取りつけた移動装置でしょう。若い人には使えても、動作が鈍くなった高齢者にはバランス維持やコントロールがきついかもしれませんね
電動スクータのように交通安全には気を付けないといけないでしょう。
人命救助用具のアイデア
発明の名称「地震室内シェルタ」
特開平8-226248号
特許請求の範囲:「頭部など身体を守る構造を有する地震シェルタ」
・室内で突然にくる地震で生じる家屋倒壊による死傷を防止することを目的としており、各種構造の実施例が示されています。上の図面はその一つで、畳3上にのせる長方形枠材4の各隅から頂点7へ四角錘状に枠材5を組み立てる構造です。
ポイント:日本は地震大国なので対策が求められるジャンルです。地震は突然来るので組み立てが容易で、かつ強度がないと役に立たないでしょう。さらに工夫を加えて実用化してほしい用具になりますね。
発明の名称「埋没脱出器」
特開平8-215327号
特許請求の範囲:「突くなど破壊部と音など発信部とを有することを特徴とする埋没脱出器。」
・図面に示した脱出器は、発信部3、把手部4と舌状の突部5から構成され、全体が部厚い金属からなっています。
地震などで家の中に閉じ込められたときに、把手部4を握って振ると、発信部3中の振片2が本体に当たって鋭い警報音を出し、戸外の人に聞きとれるというものです。
また突部5で倒壊物等に孔をあけたりできるということ。
ポイント:大地震後のTV映像でよく倒壊家屋からの救出作業が映し出されますが、一家に一つこれがあればイザというときに助かるかもしれません。
建築物・設備のアイデア
発明の名称「容易階段」
特開平7-286420号
特許請求の範囲:踏面に傾斜部分を有しかつ階段を設けたことを特徴とする階段。
この発明は図面で分かるように踏面3を一定角度で傾斜させています。
こうすることで踏面が水平な従来の階段よりも階段を上る時足首と脛の角度が小さくてすむので、階段を上がるときの力が少なくてすみ、楽に階段を上ることができる効果があるとのこと。
ポイント:いつも使っている階段の踏面が斜めだとビックリです。確かに階段を上がる力が少なくてすむかもしれませんが、バランスが悪くなり余分な力が必要になりそう。手すりかないと上がりにくいのでは?
発明の名称「一歩前進トイレ」
特開平10-37278号
特許請求の範囲:「便器の下に傾斜した床を設け、一歩前進を自動促進することを特徴とする一歩前進トイレ」
図面から分かるように便器2の床6が前下りに傾斜しているので、用便するもの1が便器2に自然に接近することになります。
ポイント:確かに一歩前進する効果は有りそうですが、バランスをとるために緊張して用便しにくそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ドクター中松氏本人の言葉として、エジソンの特許件数を超えたとの発言があります。
ネットからの情報検索では全体を把握できず、権利になった特許件数を把握し比較するのは難しいですね。
今回、分りやすい発明を取り上げました。「必要は発明の母」といいますが、ドクター中松氏は常人が気が付かない独特の視点から発明を生み出されています。
他のジャンルの発明も継続して調べようと思います。
ご覧いただきありがとうございました。
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